その雷撃に身を焦がせ!曲名が「Thunder」から始まる名曲3選

雷は好きですか?

私は大好きです。目がくらむような閃光、空を裂く稲光、地面を揺らす雷鳴の重低音。特に暗い時間の雷は最高。部屋を暗くしてカーテンを空け、自然が繰り広げる光と音のショーにしばし見とれ、そして聞きほれます。

まあそれも「安全な場所から」という大前提であり、屋外にいて無防備な状態では恐怖でしかありません。雷怖い。でも好き。

古今東西、私のように雷に魅了されてそれを曲にしたミュージシャンたちがいます。結果として全てHR/HM(ハードロック/ヘビーメタル)系のミュージシャンになってしまいましたが、私が好きな雷にまつわる曲、曲名が「Thunder」から始まる3曲を紹介します。

Thunder!

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【レビュー】This is Hardcore / PULP(1998)

1998年に発売されたPULP(パルプ)のアルバム「This is Hardcore(ディスイズハードコア)」をレビューします。

 This is Hardcore / PULP(1998) 

ディス・イズ・ハードコア

ディス・イズ・ハードコア

 

 PULPというとこのアルバムの前に出た「Different Class」が余りにも有名。

Different Class

Different Class

 

私も当時のブリットポップブームを象徴するような名盤だと思っています。ほとんどの曲がシングルカットできそうな名曲ぞろい。「DISCO2000」とか今でも大好きだ。

そしてその期待を受けて発表されたこの「This is Hardcore」は暗くて重苦しい雰囲気が支配するアルバムという印象。前作のような雰囲気を望んでいた人たちにはがっかりさせられるものでした。売上も乏しく人気は徐々に低迷していき、その後1枚のオリジナルアルバムを出しただけでPULPは解散。

たしかに暗くて重い。特に前半部分が。1曲目の「The Fear」なんてアルバムのオープニング曲なのに幽霊が出てきそうなおどろおどろしいテルミンの音が入ってるし。

でもよく思い出してください。「Different Class」だってそんな明るいアルバムじゃなかったよ。明るくて軽快な曲はシングルカットされてヒットした「Common People」と「DISCO2000」ぐらいで、あとは湿っぽくてあやしげな曲が多かったじゃないか。みんなシングル曲しか聴いてないのにアルバムを評価してるんじゃないか?と当時思ったものです。

そもそも「Common People」も「DISCO2000」も曲調は明るいけど歌詞は物悲しくて冷めている。DISCO2000なんて初恋の子に「2000年になったらあの噴水で再会しよう」って約束して、いざそのときが来てノリノリで行ったものの「もう結婚してました!」っていう曲。最後は「君の赤ちゃんを連れてきてもいいから会わない?」って。切な過ぎる…

それに加えてこのアルバムが発売された時期にブラーのデーモン・アルバーンが「ブリットポップは死んだ」なんて言ったもんだから余計にネガティブな印象がこのアルバムについちゃってる。実際、急速にブリットポップブームは去っちゃったし、私の中のブリットポップブームもこのアルバムをもって終了した感がある。PULPもこのアルバムの収録曲「Glory Days」で過ぎ去ろうとしている「栄光の日々」を歌っている。栄光のツケはまわってくると。

でもこのアルバムが暗いだけかというとそうは思いません。全体として今までより温かみのあるバンドサウンドで、苦しい中にも希望が見えてくるアルバムだと思います。恐怖が充満していた前半から後半になるにつれだんだん緊張が緩んでいき「Glory Days」から「Day After the Revolution」の流れで一気に光が差し込みます。最後は希望を持ったまま心地よい余韻に浸れる。そんな構成。1曲目から最後まで通して聴けば実に素晴らしい、悲哀と喜びに満ちた人間臭いアルバム。

「This is Hardcore」の収録曲をピックアップ 

5. Help the Aged

アルバムからの先行シングルとしてリリースされた曲。未だかつて「お年寄りをいたわろう」なんて歌ったロックミュージシャンがいたのだろうか?こんなことを歌っても「まあパルプなら、ジャービスならアリか」と思わせるのが凄いところ。

お年寄りを大切にすることを歌いながらもそこに漂うのは老いへの恐怖。私がこの曲をリアルタイムで聴いた20歳のころは何言ってんだかって感じでしたが、40歳を前にしてようやくその「恐怖」が理解できてきました。だから「お年寄りをいたわろう」って気持ちも分かる。しかし何故それを歌にした?

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多分バラエティ番組の一部なんだろうけど「Help the Aged」をバックにラップバトルでマイケル騒動のことをいじられています。

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そのマイケル騒動の模様はこちら。

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神のように振舞うようになったマイケルにジャービスは思うところがあり、ステージに乱入してお尻ペンペン。もちろんあとでこっぴどく叱られました。

Like a Friend(bonus track)

この曲はボーナストラック扱いでアルバムのエディションや発売した国によって入ってたり入ってなかったりまちまちなんですが、ぜひとも聴いて欲しい名曲です。とりあえず私が買った日本盤には収録されていました。とっくに廃盤っぽいですが。

2枚組みのデラックスエディションには収録されているので今買うならこれですね。 

This Is Hardcore (Dlx)

This Is Hardcore (Dlx)

 

アルバムの雰囲気とは合っているのですが、じゃあどこに入れるんだってなると入る隙が無いのでボーナストラックになったのかな?真相は分かりませんけど。 

静かな曲調から始まって徐々に音数が増えていき最後にドーンと爆発する私の大好きなタイプの曲です。 

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「This is Hardcore」の総評

先に書いたとおり世間の評価はあまり良くないアルバムでした。大ヒットした前作からの期待が大きすぎたのでしょう。バンド自身もそこに悩んでいたからあの暗い雰囲気のアルバムが出来てしまったふしもあります。

でも前作「Different Class」があったからこそのこのアルバム。前作と続けて聴いて「2年の間に栄光や挫折、いろいろあったんだな」という理解を含めるとよりいっそう味わい深く聴けると思います。

当時のJ-POP系音楽雑誌、確かワッツインかなんかの年末特集でアーティストの個人的年間ベストを発表するようなコーナーがあり、当時人気の最高潮だったGLAYのTERUがこのアルバムか「Help the Aged」をベストに挙げていたのを覚えています。「売れ線のアーティストやけどちゃんと分かっとるやんけ」なんて生意気な感想を持ったのも当時の思い出。

最近Pitchforkが発表した「ベスト・ブリットポップ・アルバム TOP50」には「Different Class」が堂々の一位、「This is Hardcore」がなんと7位に食い込んでますね。

なんだかんだいって実は評価の高いアルバムだったのか。

【レビュー】The Contino Sessions / death in vegas(1999)

1999年に発売されたdeath in vegas(デスインヴェガス)のセカンドアルバム「The Contino Sessions(コンティーノセッションズ)」をレビューします。

 The Contino Sessions / death in vegas(1999) 

The Contino Sessions

The Contino Sessions

 

1990年代後半に訪れたビッグビートブーム。ここ日本では「デジタルロック」または「デジロック」なんて呼ばれていたりもしました。

そのブームのピークともいえる時期に発表された代表的なアルバムは次の3つです。ケミカルブラザーズの「Dig Your Own Hole」とプロディジーの「The Fat of the Land 」が1997年発表。ファットボーイスリムの「You've Come a Long Way, Baby」が1998年発表。

そのころは雨後の筍のごとくビッグビート系のアーティストが現れては消費されていった時期。death in vegasもそんなアーティストの中の一つで、1stアルバム「Dead Elvis」を出した時点ではそのワンオブゼムといった存在でした。

Dead Elvis

Dead Elvis

 

2ndアルバムの「Contino Sessions」が発表された1999年はそんなビッグビートブームが落ち着いて下火になりはじめる直前だったと記憶しています。

私が彼らを注目するようになったのはその年に開催されたフジロックのライブ映像を見てからから。演奏曲は「Contino Sessions」の一曲目「Dirge」でした。

あらためてこの年開催されたフジロックのラインナップを見ると、当時の空気が思い出されます。

THE CHEMICAL BROTHERS、DEATH IN VEGAS、audio active、PROPELLERHEADS、UNDERWORLD、ATARI TEENAGE RIOT、サイケアウツ、DUB SQUAD、BOOM BOOM SATELLITESLES、LES RYTHMES DIGITALES、CAPTAIN FUNK…

当時はこのあたりのアーティストがビッグビートやデジタルロックというごった煮のジャンルに所属させられていました。今思えば節操無くていい加減なカテゴライズだけど個人的には最も熱いジャンルでした。20年近く経った今も当時の曲を聴いてるほど。

そのときに観たdeath in vegasのライブ映像は一言で言って「地味」でした。「Dirge」って曲が曲だし。でも何か心に引っ掛かってた。

しかしその後に発売されたアルバムを店頭でじっくり視聴し、そのダークかつサイケデリックな音に惹かれていくようになります。ほの暗いんだけどカラフル。そんな印象のアルバム。

「Contino Sessions」の収録曲をピックアップ

1. Dirge (Feat. Dot Allison)

アルバム1曲目を飾るダークな曲。

印象的な女性ボーカルは元ONE DOVEのドット・アリソン。ONE DOVEは93年にアンディ・ウェザーオールのプロデュースで裏Screamadelicaともいえる「morning dove white」という名盤を出しますが、いまいち注目されないまま消滅。ドット・アリソンはこのContino Sessionsが発売されたのと同時期にアルバムを出してソロデビュー。そのソロデビューアルバムにもdeath in vegasのリチャード・フィアレスが参加しています。当時二人が交際していたとの話もありました。

それはさておき、シンプルなリズムマシンの音と透明で生気のないドット・アリソンのボーカルから静かに始まるこの曲。後半になるにつれダークなパワーが渦を巻いて上昇していくような盛り上がりをみせます。めっちゃ重くて暗いんだけど、同時にサイケデリックな光を周囲にまとっているような、この時期のdeath in vegasの真骨頂ともいえる音。

このPVのバージョンはアルバムと違っていて荒々しいアレンジ。アルバムバージョンのほうがいい。

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2. Soul Auctioneer (Feat. Bobby Gillespie)

徹底的にヘロヘロフニャフチャして千鳥足で歩いてるかのようなボーカルはPrimal Screamのボビー・ギレスピー。

後半で「ディマーディマーディ~マァ~♪」って歌ってる箇所がよりいっそうヘロヘロで大好きなんですが、今歌詞を確認したらその箇所って「demon」なんですね。いや絶対デーモンなんて歌ってない!

5. Aisha (Feat. Iggy Pop)

イギーポップがボーカルをとるこの曲はアルバムで一番アッパーなギターロック。曲の後半でイギーが昇天してしまいますw

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9. Neptune City

 ラストの曲はダークで重い1曲目と対極にある、明るくてサイケデリックな曲。アルバム内で一番サイケ。ケミカルブラザーズのアルバムも最後のほうはコード感のあるサイケな曲が入ってるじゃないですか?あんな感じ。

なんか気分がいいときに私の頭の中で鳴り始める曲です。魂が持って行かれそうになる。

「The Contino Sessions」の総評

出始めの時期が時期だっただけに、世間ではケミカルブラザーズのフォロワーみたいな扱いをされていましたが、何かのインタビューでリチャード・フィアレスが 「俺はずっとアンディーウェザーオールの尻を追っかけてた」みたいな発言をしていたのを覚えています。

なるほどこのアルバムのダークでダビーな音はSabres of Paradiseとかに近いものがある。このアルバムでゲストボーカルにドット・アリソンを招いたのも必然だったのかもしれません。

当時大学生の私はこのアルバムに惚れ込んで聴きまくっていました。ケンウッドのCDウォークマンにこのアルバムを入れて、ひらすら暗い地下鉄御堂筋線を何度も何度も往復する日々。いや別に暗い生活を送っていたわけではないけど。

これまで聴いてきたアルバムでベスト10を挙げろと言われたならば、順位はつけられないにせよその10枚に確実に入るアルバムです。個人的にはそれぐらい重要。

この次に出た3rdアルバムもこのアルバムの路線と豪華ゲストボーカル体制を引き継いでヒットしました。しかしその次のアルバムからはいろいろあったようで内省的でエレクトリックな路線へと方向転換します。

同時期に出てきたビッグビート系のアーティスト達は大御所を除いてほとんど音沙汰無しになってますが、death in vegasは2016年時点で最新作を出しており未だ現役のアーティストです。この辺りは追々書ければ書こうかと。